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コサージュ(corsage)メーカー 株式会社ブルーリボン

History

1980年頃、文化服装学院在学中

フランスParisクリニアンクールの蚤の市で、片隅に咲いていた古びた造花と、初めて見る希少な極楽鳥の羽根細工を見つけました。

1930年代のドレスに飾ったものだと言われました。

印象深くて、あれから造花細工を始め現在に至っています。


当時は、生花の種類も少なく調達が困難な時代です。

生花に似せて、白生地を染めて作るという技法、アートフラワー(造花)が必然的に進出してきました。

この手作り造花教室(布花/染め花)が流行り、創作する諸先生方がもてはやされ、写真集から作り方等の本が数多く出版され、デパートなどで開かれる展示会や即売会は大盛況、販売される造花は高級品でした。

そして、セレモニーシーンに着用されるフォーマルドレスが普及した頃です。

お祝いセレモニーでの装いには、お花を飾るのが礼儀とされた洋装から繋がり、コサージュを付けることで完成形とされました。

結婚式のゲストコサージュと卒業入学式にお母様が付けるコサージュは、全国に定着していきパールのネックレスとコサージュが必須という時代でした。


1980年代~1990年代は、コサージュの需要が加速し始めた頃です。

この頃は、フリル/リボン/レースや花柄を多用した、フェミニンで大人かわいいアパレルブランドが多くあり、アンティーク色調のコサージュを合わせるコーディネートをしていました。

手染めで一点一点くすんだ色味の染色に格闘したものです。

ヤングフォーマルの装飾にも重点を置き、トーク帽(つばの無い筒型の帽子)がコサージュよりも売れまくり、生産が追いつかないという時期もありました。

また、生花に代わる造花でのウェディングブーケの需要も多くあり、ウェディングドレスを飾るフラワーモチーフも、一つひとつオーダーメイド制作していました。

業務は連日終電まで、打ち合わせは夜が当たり前という時代でした。

記憶に残る私たちのスタートはここからでした。


そして、CHANEL「ツイード素材のカメリア」が傑作です。

シャネルの象徴と言われるカメリアとは、椿の花をデフォルメ/簡素化されたフラットな曲形のフラワーモチーフです。

フランスのルマリエという工房の、花細工職人の手から生み出されました。

日本では、フォーマルな場からカジュアルなスタイルまでこの形状は好まれ、多様なファッションに取り入れられています。

スコットランド発祥のツイード素材に脚光を当て、自立した女性のために向け完成したのがシャネルスーツ。

この共生地(ツイード素材)を使用したカメリアコサージュを合わせることで、花モチーフがスーツに擬態化するという妙に女性的らしさを与え、スーツとコサージュが一対というコーディネートです。

日本の有名デザイナーズブランドから、スーツと一対とする共生地のコサージュ(胸飾り)を、毎シーズンたくさん作らせていただきました。


2000年代は、百貨店アクセサリー売り場で、単品としてのコサージュが重要な位置を占めており、ファッション誌に取り上げられ高級品で売れるという時代でした。

カラーフォーマルのブランドも勢いがありました。

弊社の最盛期には、年間に5~6万個のコサージュをハンドメイド生産で納品していました。

この頃に、布地の裁断面の「ほつれ」が気になりオーガンジ素材に、ほつれない捻じり加工(切り口を捻じる)を弊社が考案しました。

当初は、それまでに無かった形状なのでなかなか受け入れてもらえなかった。

時代は、PL法(製造物責任法)が施行されて、徐々にデザインに浸透していきました。

現在では、商品化されている多くのフォーマルコサージュがこの捻じり加工をされています。

また、レーザー加工で裁断面を溶かす方法もあります。

これはポリエステルとナイロン素材のみで他の素材は焦げてしまいます。

もう一つ懸念を抱くのは、「色落ちして服地を汚す」ということ。

染色は、後染め加工なので濡れたり摩擦で必ず色落ちします。

ポリエステル素材のみ、色落ちしにくい後染めは手間暇かかりますが出来ます。

他の素材は、後染めの色落ちはどうしても致し方ないです。


この40年間で、コサージュに携わった(ブライダル/デザイナー/アクセサリー/アパレル)ブランド数は、60以上に上ります。

フォーマルブランドが激減してしまい、上質なフォーマルウェアメーカーは、現在5社未満となっています。

消え去った懐かしいブランド名を見ると、それぞれにニュアンスが違い、毎シーズン企画制作して忙しかった当時を思い出します。

憧れたParisには、珍しい鳥羽根・帽子資材(シルクベール)・造花資材(ペップ)等の店があり、ワクワクして買い求めに行きました。

今ではすっかり無くなりました。


最近コサージュは、ダサい古臭い要らないと言われてます。

装いに、華やかさをプラスするファッションアイテムが多様化して、コサージュは少数派になってしまいました。

私たちメーカーの仕事は、より洗練された「モノづくり」をしなければなりません。

トレンドを意識した、上質でフレッシュなフラワーモチーフを、ドレスにスーツにヘアスタイルに咲かせたいものです。

お祝いセレモニーの装いには、Corsage(フラワー)は必須アイテムです。


2025年 長谷川和也

株式会社ブルーリボン

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